先日、ネットニュースを読んでいて個人的にはとても衝撃を受けた記事がありました。
『全中 2027年から規模を縮小』
全中=全国中学校体育大会(中学生のスポーツの全国大会)が3年後から
夏季大会:水泳・ハンドボール・体操・新体操・ソフトボール(男子)・相撲
冬季大会:スキー・スケート・アイスホッケー
この9つの競技については実施されないこととなったようです。
(スキーは開催地との契約が終わる令和11年度までは継続)
実施されなくなる背景としては
○生徒数の減少
○夏季大会の暑さ対策
○運営に関わる教員の負担
などが上げられるとのこと。
確かに、少子化で競技人口も少なくなり、部活動の地域移行も推進されています。
夏季大会は日本全国どこで開催されようとも、この暑さの中での実施。
となると大会を運営する側も参加する側も、熱中症対策には最大の注意を払う必要があります。
そして、生徒を指導・引率する教員の負担だけではなく、開催地の教員が大会運営として大量に借り出されるという現場の負担の大きさ…。
上記はどれも大会の規模を縮小するにあたっては納得のできる理由だと思います。
けれど、その全中出場を目指して全力で競技に向き合ってきた子を持つ1人の親としては、とても残念に思うのです。
息子は中学生の時、この全中出場を目標としていました。
学校へは部活をするために行くようなもの。
学校の部活とは別の所でも指導を受け、私も送迎に走り回りました。
厳しい練習でぶっ倒れた息子を車の後部座席に放り込んで帰ることもしばしば。
全ては全中出場のため…。
しかし、あと半歩のところで出場の夢は叶いませんでした。
息子は大学3年生の今でもこの競技を続けていますが、
『全中に出られなかった』
という思いが、ずっと心のどこかに引っかかっているようです。
この前の地区別インカレ出場に向けた大会で、息子は1人の中学生に出会いました。
※その辺りの話
果敢に息子に挑んできた中学生。
先の大会の競技終了後、息子はその中学生に声を掛けたそうです。
息子「全中目指してるの?」
「僕はダメだったから…。頑張ってね!」
そう声を掛けると、とても嬉しそうにしていたそうです。
後の大会で戦った後は練習内容の話や進路相談にものったとか。笑
その後、その中学生の顧問の先生には
「おかげさまで全中に向け、良い経験ができました。」
とお礼を言われ、彼のお母さんにも
「この前声を掛けていただき、さらに全中に向けてスイッチが入ったみたいです。」
とお礼を言われたそうです。
息子はお二人に
「僕は全中に出られなくて悔しい思いをしました。なので彼にはぜひ出て貰いたいと思っています。応援しています。」
と話したそうです。
目指す者、夢を支える者、夢が叶わなかった者のそれぞれの思いが込もった特別な大会が全中なのです。
『子供たちのために』
コメント欄には、この言葉は教員のやりがい搾取に他ならないという意見が多数ありました。
全中に出たところで、その多くはオリンピックには繋がらないといった意見もありました。
教員の善意のみで成り立つ大会運営を見直し、廃止や縮小ありきではなく持続可能な大会運営を関係機関や各競技団体は責任を持って考える必要があると思います。
みんながみんなオリンピックには出られなくても、夢に向かって頑張った経験は決して無駄になることはありません。
息子にしても、全中に出られなかったという悔しい思いが根底にあるからこそ今なお競技を続け、勉学との両立を図りながらも新たな目標を立てて努力を積み重ねることができているのかもしれません。
その努力や勉学との両立の経験は、今後の息子にとっては糧となるに違いない。
今週末から息子があと半歩及ばなかった全中に向けての大会が行われます。
1人でも多くの中学生の、夢が叶うようにと願います。