~小学生時代の振り返り①~の続き
息子が4年生の頃、担任の先生から
「今日はA君とけんかをして手を出しました。」
「今日はB君を蹴ってしまいました。」
「今日はランドセルを振り回してC君に当たりました。」
と3週続けて連絡が入りました。3週続けて菓子折を持って息子と共にそれぞれのお宅に謝罪に伺いました。
息子は毎日、特に変わった様子もなく普通に登校していました。
それ以前に友達とトラブルになったことはありませんでした。
いったい何が起こっているのか?
突然のことに私はパニックになりました。
息子にどうしたのかと問いただそうとしましたが、息子は何も答えません。
周囲に相談しても「男の子なんてそんなもんやろ。」と言われました。
担任の先生にも、同じようなことを言われてしまいました。
いや、違う。何かが違う。
『男の子なんてそんなもんやろ。』で片付けてはいけないと強く思いました。
そこで私は自治体の子育て相談ダイヤルに電話をしてみました。
息子の突然の変化に戸惑い、接し方に悩み、息子はひょっとしたらやって良いことと悪いことの区別がついていないのでないだろうかと相談しました。
相談員の方も「男の子は多少のトラブルはあるもの。」とおっしゃいました。
私は『男の子はそんなもん』でスルーできない、スルーしてはいけないような気がすると訴えると、相談員の方は
「一度、子育て支援センターの方で面談を受けてみますか?」とおっしゃいました。
息子に何が起こっているのかがわかり、何か道が開かれるのならと思い、面談を受けることにしました。
面談の予約を取り、息子と2人で子育て支援センターを訪れると、児童福祉司さんと臨床心理士さんの2人が担当として私たちに対応して下さいました。
数回にわたり、親子2人での聞き取りや個別での聞き取りがありました。
私の様子があまりにもピリピリしていて、息子との関係もギクシャクしていたのを感じとられたのか、スキンシップを取るために親子で一緒に行う体操なども提案されました。
2人は私の話や息子の話を丁寧に聞いて下さいました。
私にきつく怒られ続け、縮こまっていた息子は2人に話しを聞いていただいているうちに、表情も明るくなっていきました。
『やって良いことと悪いことの区別はついている』と臨床心理士さんからお話はありましたが、私は息子の突然の変化の原因が知りたく、体操を教えてもらいに来ているのではないのに、と少しモヤモヤとしていました。
面談の総括として、WISCの発達検査を勧められました。
何か解決に繋がるのならと受けることにしました。
検査を受け、後日2人でセンターを訪れると、児童福祉司さんが少し興奮されている様子で結果についての説明がありました。曲線の分布図で息子の位置が示されました。
「私はこういう子にも、その子にあった支援が必要だと思っています。」
隣で臨床心理士さんが静かにおっしゃいました。
その後、2人は息子の変化の原因について話してくださいました。
息子は、本やチャレンジで知識を得ることが楽しく、勉強も楽しい。
学校での勉強も楽しくて、手をあげてたくさん発言してしまう。
先生も息子を認めて褒めてくれる。うれしくてまた発言してしまう。
その様子がクラスメイトにとっては不快であり、息子にいじわるなことを言ってしまい、それに対して息子が我慢できなくなって手を出してしまう。
ということでした。
私に黙っていたのは、当時転職したばかりで日々余裕のない様子の私に心配をかけたくなかったからだと臨床心理士さんに打ち明けたそうです。
その後は、いじわるなことを言われたくないので授業中も発言を控え、目立たなくしているとのことでした。
当時、余裕がなかったとはいえ、全く気付くことができませんでした。
息子に申し訳なく思いました。
申し訳なく思うのと同時に、ショックをうけました。
いじわるなことを言われたとしても、手を出してしまった息子が悪いことはもちろん承知しています。
けれど、知っていることを知っているって言ったら、イヤな顔をされるの?
息子が息子らしく、いきいきと過ごせるためにはどうしたらいいのだろう?
学びたいと思うのなら、誰に遠慮することなく思いっきり学んでほしい。
「こういう子にも支援が必要だと思う。」
とおっしゃった臨床心理士さんの言葉がずっと心にありました。
環境を変える?
どうしたら良いの?
中学受験・・・する?
この時に初めて『中学受験』を意識しました。