shanの雑日記

子育ての振り返りから日々の雑感など

やっぱり何も変わらない

この話の続きです。

shanru.hatenablog.com

 

息子が大会に出場するのか棄権するのか不明のまま、とりあえず会場に向かいました。

時間になるとユニフォーム姿の息子が登場。

見慣れた会場に、見慣れない負のオーラを纏った息子。

今まで、この会場に立つ息子からは

やってやる!

という気迫が応援席にいても伝わってきました。

そんな息子しか知りませんでした。

この日の息子からは何も感じませんでした。

この時点で、勝負は決まっていました。

結果はその通り。

ズタズタのボロボロになった息子を静観していました。

 

会場を後にする時、息子の姿を見つけました。

息子と目が合いましたが、声を掛けることなく帰宅。

しばらくして息子が帰ってきました。

無言でシャワーを浴び、朝に持たせたおにぎりの残り2個を黙々と食べていました。

私 「何時に向こうに戻るの?」

息子「決勝を見終わってから……。」

  「…………情けない……。」

そう言って息子はポロポロと涙を流しました。

中学・高校供にすべての大会で順調だったわけではなく、負けた事もあります。

けれど、悔しい表情はするものの泣くことはありませんでした。

競技を始めて10年。

息子の涙を初めて見ました。

不甲斐ない結果しか出せなかった自分に腹が立ち、よっぽど情けなかったのだと思います。

息子「最初の段階で焦ってしまったし、途中も身体が重くて動けなかった…。」

  「ほんとに情けない…。」

  「やっぱり、みんな凄かった…。」

そう言いながらタオルで顔を押さえていました。

 

息子が今回、脚のケガ以上にウダウダしていた理由はこれ。

約2年前、高校最後の大会の決勝。

息子は優勝しました。

※その辺りの話

 

shanru.hatenablog.com

同じ決勝に進んだかつてのライバル達は、1人を除き(同じ高校の後輩。種目変更しこの春旧帝大進学。)全員、その競技を行うためにスポーツで大学に進学していました。

この2年間、積み重ねてきた練習量が違います。

『志』も異なります。

2年前、同じ決勝を戦った全員が今回の大会にエントリー。

息子は今の自分との『差』を目の当たりにするのが怖かったのだろうと思います。

ウダウダなわりには負けず嫌いな息子。

かつて負けた事のないライバル達に

練習量も志も違うのだから、負けても仕方がない。

と思いたくなかったのです。

息子の気持ちも、わからなくなくはない。

けれどこればっかりは仕方がないと、親としては思うのですが…。

現実にはまったく太刀打ちできませんでした。

歴然とした『差』がありました。

 

泣いている息子に向かって言いました。

他の人は、君が必死に勉強してる時には必死に練習している。

競技に対する考え方も向き合い方も、今はまったく違うものになってしまったのが現実。

それはキチンと受け入れなさい。

けれど泣くほど悔しいのなら今あるこの状況で、できることは何かを考えるべき。

やれることを精一杯やるしかない。

さあ、そろそろ決勝が始まる。

その目でしっかり見て悔しい気持ちを焼き付けておいで。

 

息子「ハハは行かないの?」

正直、息子の出ない決勝なんて見たくもないと思っていたのですが、どうも一緒に行って欲しい様子。

息子と一緒に大会会場へ向かいました。

 

応援席に息子と並んで座りました。

そういえば、息子と一緒に競技を見るのは初めてです。

息子「だっていつも、向こう側にいたからね。」

息子は決勝の舞台で戦うライバル達を真剣な眼差しで追っていました。

競技終了。

息子「来年は、絶対にまた向こう側に行くから。」

ウダウダオーラを纏っていた息子のスイッチが完全に切り替わりました。

久しぶりに見る、

やってやる!

の目。

 

大学でもこの競技を続けると聞いた時、いつかこの壁にブチ当たるだろうなあとは予想していました。

『環境の違い』『志の違い』それぞれあるかと思います。

けれど、自分が本当に望むことならば諦めることなく全力で捕まえに行けばいい。

中学受検と競技の両立に苦しんでいた時に息子に言った言葉。

『二兎を追うものにしか二兎を得ることはできない。』

まさか、医学部に進学した大学生の息子にまたこの言葉を掛けることになるとは…。

 

私 「結局、ハハも君も何も変わっていないなあ。笑」

息子「ま、競技引退するまでは変わらんね。笑」

そんな事を言って笑い合い、切り替えてスッキリした表情の息子を横目で見ながら会場を後にしました。



医学部の勉強との両立は実際に大変だし、それなりの覚悟が必要になります。

けれど再びあの舞台に立ちたいのなら、やるしかない。

成人はしたけれど、たまにウダウダになる息子の背中を後押しできる存在でありたいと思います。

 

やっぱりまた変わらず

やめてしまえ!!

と叫ぶこともあるかもしれません。